ザファーム(千葉県香取市)で稲刈り体験〜自然への畏れをとりもどす

#ザファーム #貸農園

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長い間、海外旅行に行っていません。実はコロナだけが理由ではないんです。

旅行先の国によってはお米が食べられないこともあります。数日お米を食べないと、体調が悪くなることがあるんです。

そんな経験をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

不思議なことに、お米は毎日食べても飽きることがありません。炊きたてのご飯の香り、ふっくらとした食感、そしてほんのりとした甘み。どれも五感に訴える魅力です。

お米は本当に万能で、日本では最も重宝される乾物の一つといえます。少なくとも私の食生活には欠かせません。

おかずがなくても、炊き立てのご飯があればなんとかなることもあります。

農水省の報告によると、一人当たりのお米の消費量はかつてピーク時の年間120kgから60kg弱まで減少しているそうです。昭和のピークと比較すると半分以下になっています。

食の多様化が進み、パンやパスタなど、お米以外のものを口にする機会が増えていることは感覚的にわかりますが、数字で見ると減少幅に驚きます。実感ではおよそ3割減くらいですが、日本全体としては半分以下になっています。

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お米は、存在が当たり前すぎて、ありがたみを感じることがなくなってしまっている日本人の主食です。そんなお米を、私は今年、自分で収穫してきました。場所は、貸農園の契約をしているザファームです。

稲を植えたのは5月8日で、収穫したのは9月11日。つまり、およそ4か月で実ったお米です。

今年は日照時間が短く、例年よりも生育が思わしくなかったそうです。例年を知らない私には、「そんなもんなのかなぁ」と実感を持てません。

「収穫」と言いますが、まるで自分が育てたような言い方をしていますが、実際には全然違います。

「植えるところ」と「刈るところ」をちょっと体験しただけです。お米を育てたなんてとても言えません。

お米農家の方々は、雨の日も風の日も命懸けで田んぼを守っていると聞きます。台風の中、田んぼの様子を見に行って、痛ましい事故になってしまったというニュースを聞かない年はありません。

そんな方々の努力を思うと、軽薄なことは言えません。

稲刈り体験では、鎌を持って手で稲を刈ります。機械で刈ることはありません。

鎌の持ち方や稲の持ち方、稲刈りの構えについて、足の位置や腰の位置などを丁寧に教えていただきます。

鎌はよく切れるので、けがのないように細心の注意を払います。特に小さな子供と一緒に参加している家族の方々は、真剣そのものでした。

装備としては、事前に長袖、長ズボン、長靴、軍手としてアナウンスされていました。説明が終わると、早速稲刈りを開始します。

まったく切れない。どれだけ力を入れても稲がびくともしない。

鎌の刃を前後に動かすと、少しずつノコギリのように切れると、スタッフの人が見せてくれた見本とは全然違う。

稲を刈るときの音は「ギコギコ」ではなく、「スパッ」なのです。

このままでは稲刈りが終わらないと思い途方に暮れながらも、力の入れ具合、体の向き、鎌の角度などをいろいろ試しました。失敗を重ねるうちに、少しずつ「スパッ」に近づいていきました。

20束くらい刈ったでしょうか。コツらしきものがつかめてくると、余分な力が必要なくなり、音も「スパッ」と気持ちよく響きます。カボチャの切り方テントの立て方と同じで、うまくできるときには力なんてほとんどいりません。

そうなると楽しくてたまりません。

リズムに乗ってくると、鎌を放したくなくなります。子供から「鎌を貸して」と言われても、内心は貸したくないほど、やみつきになるほど夢中になっていました。

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稲を刈っていると、コオロギやバッタ、カエルなど、さまざまな昆虫と出会います。そこには豊かな自然があったんだなと思わされます。稲に隠れて休んでいる猫までいました。自然と遊びながら、ゴールに近づいていくのを感じました。

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自然には様々な生き物が存在しますが、中には出会いたくないものもあります。その一例がマムシです。

私が隣の田んぼで稲刈りをしていた時、マムシを見つけました。カエルを狙っているようでした。

人が噛まれると大変なので、隣の田んぼの稲刈りは中断となりました。参加者たちは言うまでもなく、素人の集まりなので安全性が最優先です。

噛まれた時の対処法はもちろん、噛まれないようにする方法もまったくわかりませんでした。

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刈り取った稲はまとめて脱穀機のところまで持っていきます。一本一本は軽いのだけれど、束にするとずっしり重いです。子供たちも必死になって運びます。この重さが子供たちのお手伝い本能を駆り立てるのかもしれません。

脱穀、籾摺り(もみすり)、精米などやるべきことはまだたくさんあります。この日は、そのうちのごくごく一部を体験したにすぎないけれど、体力的には限界が近づいています。

早々に切り上げてお弁当休憩をはじめた人も多くいたので、ふだん稲刈りをしない人にとってはやはり負担が大きいのだろうと思います。私にも負担が大きかったです。休憩したい人にはお弁当とお茶が配られます。わが家のようにハマってしまった人は気の済むまで稲を刈ることができます。

ちなみに、マムシ騒動のあった田んぼはマムシを捕獲することができなかったので。稲刈りはそのまま中止されました。残った稲は機械で一気に刈ってしまいました。機械の力は偉大です。あっという間に刈られてしまいました。

これまで人がやっていたことを機械がやる。この流れは米作りにかぎった話ではありません。人の負担が減るのはありがたいことです。浮いた時間を別のことにあてることができます。家で愛用しているホットクックも同じ発想だ。けれど、その流れに身をまかせていると自然への畏れがどんどんなくなっていく気がします。自然をコントロールできていると錯覚してしまいます。

この考えはとても危険だと思います。

自然には私たちが到底及ばない圧倒的な力があります。キャンプをはじめとした外での遊びをするようになって痛感します。まったく歯が立たないくらいの圧倒的です。エアコンの効いた自宅でリモートワークばかりしているとこのあたりの感覚が麻痺してしまいます。

自然に対するアンテナが錆びないようにまた外に出かけたいです。

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