2023年3月5日、私ははじめて東京マラソンに参加しましたが、途中で棄権せざるを得なくなってしまいました。私がこのマラソン大会に参加した経験を紹介したいと思います。
準備
これまで何度かフルマラソンに出たことはあります。
しかし、東京マラソンに参加するのは初めてだったので、かなり緊張していました。
会場までの移動中も、お腹に力が入らないようにゆっくり呼吸するように心がけましたが、スタート地点に近づくにつれて、かなりのドキドキ感に襲われました。
スタート地点で受付を済ませ、ランナーチップをつけ、荷物預けやトイレの列に並ぶなど、忙しく動き回る中で緊張が和らぎました。
いま思えば、8:45までに必要な手続きをしてスタートラインに間に合うかというところに、もっとも緊張していたのかもしれません。
それなら余裕を持って早く行けばいいのですが、それはそれで寒い中待つ必要があるので体力のことを考えると悩ましいところではあります。
レース
スタート
スタート地点に立った瞬間、驚くほど多くのランナーがいることに気づきました。
見わたすかぎりランナーです。参加者38,000人と数字では理解していましたが、実際にそれだけの人間が集まると圧倒されます。
私が並んだのはHブロック。スタートラインそのものを見れるような位置ではありません。
係の方のアナウンスする注意事項を聞きながらスタートの合図を待ちました。寒いです。

スタート時間になると、はるか彼方でスタートの合図が聞こえました。遠くの畑で鳥除けのピストル音を聞いている感じです。
のろのろと動き出し、20分くらいした頃でしょうか。ようやくスタートラインを通過して競技開始です。
スタート後は、じぶんのペースをつかむことよりも、他のランナーとぶつからないように移動することに専念。
ランナーがスタート直後に脱ぎ捨てた上着がそこらじゅうに転がっているので、引っ掛けて転ばないように神経を使います。
後で聞くと、脱ぎ捨てられた衣類に足を引っ掛けて転倒してしまい、後続のランナーに踏み潰されてケガをされた方もいるようです。
「脱ぎ捨てないで」と関係者の方から繰り返し注意喚起が行われていただけにとても残念です。

レース中
序盤はとにかくフワフワした感じで、たかぶる感情を鎮めることに苦労しました。
ふだんのペースとどれくらいちがいがあるのか、なかなかつかめません。
混雑がひどく、他のランナーにぶつからないようにコース選びをするのに必死です。
スタート直後は、ゆるやかな下り坂が続くので、オーバーペースにならないように気をつけることはあらかじめ考えていました。特に、スタート直後は興奮状態にあるので、ついついアクセルを踏んでしまいがちです。
それでも水道橋の東京ドームくらいまで来るとなんとなく気持ちが落ち着いてきました。
応援に駆けつけてくれた知人を探す余裕もありました。そんな楽しいランニングが15kmくらいまで続きました。
で、一度そのあたりでトイレに行くことにしました。長蛇の列を敬遠して先延ばしにしていたのですが、めずらしく列の見えないトイレがあったので立ち寄ることにしました。
ところがこれが大失敗。トイレのある地下まで行くと長蛇の列。
結局15分くらいかかりました。制限時間を気にしながら参加をするランナーにとって、トイレの待ち時間は慎重に考えるべきテーマですね。
それでも、別のトイレを選んだとしてもおそらくこれくらいの時間はかかったと思います。
30km付近になると、トイレで長時間待つことはありませんが、そうでなければトイレの時間が15分くらいかかるということはあらかじめ計算に入れておくべきですね。
トイレ休憩が終わり、20km付近になるとぱったりと足が動かなくなってしまいました。
自分の足なのにいうことを聞いてくれない感じです。レース前の想定では、30km付近でこういう状態になるのではないかと考えていたのですが、思いのほか早くこの時期がやってきてしまいました。
ストレッチを織り交ぜながら進もうとしますが、足が思うように動いてくれません。
楽しみにしていた17、32kmのようかん、22kmのカロリーメイトも在庫がなくなり、ありつけませんでした。
もちろん栄養補給のためのゼリーを準備してはいたのですが、「飲む」のではなく「食べる」ことを体が求めていたので、これはとても痛手になりました。
本音を言えばあまりが出るくらい用意しておいてくれてもいいのではないかと思います。特に足の遅いランナーは体を動かす時間が長いので、その意味でも遅い人たちのために給食を用意してほしいと思うのです。
でも、それも単なる言い訳ですね。きちんと準備しているランナーはいました。
小さなおにぎりやカステラを準備してきていて、それを食べながら補給しているランナーもたくさんいました。大反省です。
それでも沿道で応援してくださる方の中には、ボランティアでバナナなどの軽食を配布してくれている人もいました。
私もすがる思いで、せんべいをひとついただきました。塩がきいて本当においしかったです。ありがとうございました。
おせんべい補給を終え、しばらくすると急に気分が悪くなってきてしまいました。
極度の疲労の中、ゼリーだけを飲み続け、急に固形物を入れたのでからだがびっくりしてしまったのかもしれません。
あわててトイレに駆け込みますが、からだの震えが止まりません。
様子を見てふたたび走り始めるのですが、またしばらくすると吐き気と寒気で身動きが取れなくなってしまいました。
京橋付近でそんなことを繰り返し、トイレから出てくると係の方から関門閉鎖の知らせがありました。あえなく終戦です。
かりに関門で引っかかってなかったとしても、走り切ることはできなかったと思います。
収容
関門が閉鎖されてしまったので、収容のためのバスに乗り込みます。
吐き気はおさまったものの寒気は止まりません。ガタガタと震えながらはとバスに乗り込みました。
人生初のはとバスがこんな出会いになるなんて想像していませんでした。
係の方がいろいろと説明してくださったようですが、あまり良く覚えていません。
バスは数台で連れ立って、ゴール地点の東京駅に向かいます。
バスの中には満員ではないですがそれなりのランナーが乗っていました。比較的みんな元気だったことに驚きました。
バスの中から見るマラソンコースの景色はなんともいえない悲しさがあります。とっくの昔にゴールして、東京観光を楽しんでいる人の姿も見えます。
とは言え、震えが止まらないくらいの状態だったので、バスでの移動はほんとうに助かりました。
走っていたらとんでもなく長くかかってしまう道中も、バスならあっという間です。当たり前ですね。
荷物引き渡しエリアまでバスで移動し、解散です。
とにかく寒気をおさめるために急いで着替えをすませ、水分を取りました。
幸い、ダウンコートを着て、フードをきっちりかぶり、体温を上げることに専念したおかげで道端で倒れてしまうようなことにはなりませんでした。
けれど、あれは結構危険な状態だったと思います。
まとめ
フルマラソンは、とても厳しい競技だと再認識させられました。これまで何度かフルマラソンを走ってきましたが、完走できなかったことはありません。
しかし、冬の東京マラソンに参加してみて、私にはフルマラソンに完走する力がなかったことがわかりました。
もう一度フルマラソンに挑戦するかどうかはわかりません。少しトラウマのようになっていて、挑戦を躊躇しています。
以上が、私が東京マラソンに参加して感じたことをまとめたものです。
私にとってはとても厳しい大会となりましたが、多くのランナーたちが挑戦し、完走を果たしているという事実には感銘を受けます。
こういった素晴らしい競技が行われているのは関係者の方々のサポートはもちろん、マラソンにはまったく関係はないけれど、当日の交通規制に付き合ってくださっている一般の方々の我慢があってこそと思います。
素敵な大会なので、走るだけではなく、応援するという形でもいいので、来年以降の大会を楽しんでいきたいです。
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