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本書を読んだきっかけは、けんすうさんによるご紹介でした。
一言でいうと
無性にクラフトビールが飲みたくなる一冊。
パンクに抱いていた誤解
会社がどうなるにせよ、ビジネスのカリスマを装った片手間の素人ではなく、自分が決断を下した結果であるべきだ。こういうニセ実業家は「失敗から学べ」と吹き込んでくる。だが、それは負け犬のやり方だ。失敗にも少しくらい学ぶことはあるかもしれないが、そのことを慰めにするのは、自分の未熟さを正当化しようとする弱い人間の浅知恵でしかない。失敗から学べるのは、実力が足りないということと、もっと実力が必要ということだけだ。はっきり言って、意味のある学びは成功の中だけにしかない。
失敗を恐れるあまり、新しいチャレンジに及び腰になってしまうことが日本人には多い、という文脈で失敗を肯定する話をよく耳にします。
私もこういった話に励まされている1人です。そのことを真正面から否定される一文が本書の前半に登場します。
この言葉は、本書をオススメされていたけんすうさんのコメントにも引用されていました。
メンタルが弱めの私はしばらく立ち直れませんでした。
気を取り直して読み進めていくと、今度はパンク、パンク、パンクの大合唱です。
パンクという言葉は聞いたことがありますが、実際問題として内容については全く知りません。
強いて言うと、過激なロックンロールといったイメージを持っていたということくらいでしょうか。
そうなると、パンクから想起されるのは、破天荒、出たとこ勝負、行き当たりばったりとあんまりいいキーワードは思い浮かびません。
しかし、こういった勝手な思い込みとは裏腹に、著者が起こそうとしている革命はそんなめちゃくちゃで荒唐無稽なものではないことが徐々にわかってきます。
創業者としてどうしても成し遂げたいことがある、それを成し遂げることこそ自分の使命である。
お金を稼ぎたいなら大企業に入ればいい、けど自分はそうではない。
その革命の核となる部分は、創業者自身の中にしかありません。
そうであるならば、その自分の中にある思いを大事にして、自分が面白いと感じるものをとことん突き詰めていけばいいと著者は言います。
独りよがりとも思ったのですが、創業者自身が一番自分のビジネスについて考えているし、中途半端にしか考えていない他人の下した決断の結果だけを引き受けるなんてどうしてできようか、という話を聞いてすごく納得しました。
発言の表層や表現物の上っ面だけを見ると極端に自分本位に見えてしまいがちですが、よくよく聞いてみるととにかく自分の考えを大事にする、最後に頼れるのは自分だという自分に対する信頼で一貫しています。
パンクであるための方法論
パンクを貫くための方法論も一貫しています。
カリスマの威光を振りかざして強引に物事を進めていくようなそぶりは全くありません。
むしろ、最近の自己啓発本で紹介されているようないわゆる基本的なことばかりです。
表現が過激なところがあるので誤解しそうになりますが、とても基本的なことです。
ただ、とことん徹底されています。
お金
キャッシュの管理を徹底しています。
キャッシュは現実の世界に存在し、利益は書類上にしか存在しないからです。
債権の回収は出来るだけ早く、支払いは出来るだけ遅くとシンプルですが手元のキャッシュを確保するために徹底しています。
また、不必要な値下げも絶対にしません。値下げは会社にとって麻薬のようなものだそうです。
値下げによって短期的な売り上げが上がったりすると麻薬から抜け出すことができなくなるそうです。
売り上げが伸びないときでもこの姿勢を貫き通すのは至難の技だと思います。
これも自分を信じるからこそできたのかもしれません。
さらに、はしご方式の価格設定も単純ではあるけれど強力なビジネスツールだと説明しています。
会社員の私は、自分で商品の値付けをすることはありませんが、何かを提案するときにそれが価格に関することでなかったとしても活用できそうです。
考える時間
頭の中や時間に余白がないと集中して考えることはできません。
メールを例にとってリアクション型のワークフローがどれだけ害悪をもたらしているのかを説明しています。
メールについては、二日に一回しか返信しないと宣言していると言います。うらやましい限りです。
ただのわがままでメールの返信を制限しているのではないことには注意しないといけません。
自分が集中する時間を確保することも目的には含まれていますが、それ以上にメールによる信頼関係の破壊に目を向けているのです。
ついついやってしまいがちですが、対立や問題があるときにメールでのやり取りは絶対に禁物だと言います。
何年もかけて作り上げてきた信頼や好意をあっという間に台無しにしてしまうからです。
私の思っていたパンクからはほど遠い血の通った対応です。
物事に対する姿勢
自分の姿勢だけはいつでもコントロールできます。
当たり前ですが、このことを常に意識されています。
すべてをかけて働いても、ゆっくり後退しているように感じるものだ。
※引用は全て「ビジネス・フォー・パンクス」より
事業を立ち上げた当初、常にこんな感覚だったそうです。
こういったきつい原体験があるからこそ、コントロールできるものに集中する、コントロールできないものを排除するといった方法論に行き着いたのではないでしょうか。
私が読んだ本
本書以外に私が読んだ本を一覧にしています。ぜひご覧ください。