【感想】「ここにしかない大学 APU学長日記」(出口治明:日経BP)

ここにしかない大学 APU学長日記 出口治明

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こんにちは。通勤時間が至福の読書タイムのCAMPION () です。

出口治明さんの「ここにしかない大学 APU学長日記」を読んで、気づいたこと、考えたことを書きました。

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ぜひご覧ください。きっと、いろんな本が読みたくなるはずです。

個性との向き合い方

多様性の重要性が叫ばれるようになって久しいですが、人とちがっていること、すなわち個性について尊重することができているのか、いまひとつ自信がありません。

小さな丸より大きい三角

自分の子どもと接している時も、ついつい聞き分けの良い子になるように仕向けているような気がします。つまり、個性を消すベクトルで教育をしているような気がしてなりません。

自分が子どもだった頃を振り返ってみると、自分で言うのもなんですが、先生の言うことはよく聞き、テストもそこそこいい点数をとることができていました。

つまり、「小さな丸」になることが自分にとっての最優先事項であり、そのためにコツコツとやってきた人生でした。

そんな人生を送ってきたからこそ、「小さな丸より大きい三角」という表現が刺さるんだと思います。

その反動で子どもには「大きい三角」になってもらいたいにもかかわらず、個性を消すベクトルで声かけをしていたりします。

我ながら、ずいぶんと一貫性がありません。

「純粋培養」は生物として不自然。

「ここにしかない大学」(出口治明)

追い討ちをかけるように、この一文にもガツンと頭を殴られて感じがしています。

最近、娘の教育について考える機会が増えてきました。まわりを見ていると、名の知れた私立の中学に進学させて、大学まで行かせたいと躍起になっているパパやママが多いです。

私は、そこまでの熱意はありませんが、妻はまわりと似た意見を持っています。

子どもが娘だからというのもあるのかも知れません。

いろんな所得層の集まる公立学校に進学させようと考える私と、環境にお金を払って似た境遇の人たちが集まる学校に通わせようとする妻、議論はいつも平行線をたどり、結論が出ません。

ただ、話し合いに疲れて終わってしまうだけです。

子どもの教育は、結局のところ親のコンプレックスの裏返しのような気もしていて、自分でも方針が定まりません。

あと、やっぱり気になってしまうのは、極端な例で言う「大学不要論」などを唱えている人はたいてい高学歴だという事実です。どうしても、その事実を見てしまうと、いわゆる「偏差値の高い」学校に行かせたくなってきてしまいます。

「個性」は誰しもある。それを「主張」しているかどうか。

個性が強い、弱いという見方は間違っているということを教えてくれたのが、この言葉です。

妙に納得感のある言葉です。

人それぞれちがって当然。ちがってないのは明らかに不自然と考えれば、そこにあるのは個性を主張しているかどうかのちがいだけです。

この点は十分に気をつけておかないと、人のことを誤解してしまいます。

「好きなことを徹底的にやらせて、失敗しても怒らない。むしろその挑戦をたたえる」しかありません。

好きに行動させたら、多くの場合は、まず失敗します。

でも、そこで叱っても意味がない。心理学の研究でもはっきりしてますが、叱っても人は絶対に伸びません。

むしろ萎縮して自ら行動を制限するようになり、成長が止まります。

子どもの決断や行動を認めて、ほめる、たたえる。それだけで執着心、探究心、くじけない力、自己肯定感といった偏差値では測ることのできない「非認知能力」が高まります。これは大人になってもずっと役に立つ力です。

「ここにしかない大学」(出口治明)

そんな視点で語られたこの一文は、子どもと接するときに常に念頭に置いておかなければいけない大切なメッセージが含まれています。

学長としてはじめに勉強したこと

個性の話とはまったく別の話で、驚いたのがこの話でした。

学長としてはじめに勉強したのが、教育関連の法律だったそうです。

出口さんが、京都大学の法学部で勉強されていたことが関係しているのかも知れませんが、こういうアプローチを考えたこともありませんでした。

私の場合、手っ取り早く概要をつかみたいと思うタイプです。

勉強で言うと、正攻法の基本書から入るのではなく、漫画が入っているような薄い本で概略をつかむということをしてきたのですが、出口さんはそうではないんです。

ややもすると堅苦しくて敬遠しがちな法律ですが、その道で仕事をするのであれば、避けて通れないことも事実。

仕事の取り組み方について、強く反省させられたエピソードでした。

腹落ちしない仕事は断っていたという日本生命時代のお話からすると、法律から勉強していくスタイルには強烈な腹落ちがあるはずです。

このあたりのメリハリは、いつも出口さんのご発言、ご著書で驚かされる部分です。

出口さんのおすすめ本 30冊

本の中で、新入生向けに「読むべき30冊の古典リスト」が紹介されていました。

2018年春の入学式で、APUの学生さんに紹介されていたリストだと思います。

 

「哲学と宗教全史」で紹介されていた本もまだ数冊しか読んでないんですが、残りの人生であと何冊読めるか、コツコツ読み進めていきたいです。

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古典を読んでみたいけど、どれから読んだらいいかわからないという人は、この中から面白そうだと思える本を選んでみるといいかもしれません。

1. 自省録

2. ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら

3. フランス革命についての省察ほか

4. カエサル戦記集 ガリア戦記

5. 論語

6. 種の起源

7. 方法序説

8. 王書 古代ペルシャの神話・伝説

9. 夜と霧(新版)

10. 韓非子

11. ヘロドトス 歴史

12. イリアス

13. 中世の秋

14. ルバイヤート

15. 唐詩選

16. 君主論

17. コーラン

18. ツァラトゥストラはこう言った

19. コモン・センス 他三篇

20. ソクラテスの弁明・クリトン

21. 東方見聞録

22. シェイクスピア全集 ロミオとジュリエット

23. 国富論

24. プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神

25. 荘子

26. 新訂 海舟座談

27. 鈴木大拙全集

28. 風姿花伝

29. 曽根崎心中・冥途の飛脚 他五篇

30. ブッダのことば スッタニパータ

まとめ

日本生命、ライフネット生命といった保険の仕事だけでなく、大学の学長という仕事も成し遂げてしまう出口さん、すごいの一言です。

抽象化・一般化する力というのでしょうか、それとも視座と呼ぶのがいいのでしょうか、高い位置から俯瞰して物事を理解することで、分野を超えて結果を出されているように思います。

年齢の話をしてはいけませんが、本の中で、出口さんがマハティール首相の食欲に感心したエピソードが書かれていました。

出口ファンの私からすると、時おりTwitterで見かける出口さんの食事(出口食堂)もかなりボリューミィでいつも驚かされます。

出口さんは、悩んだときには、おいしいものをいっぱい食べて、たっぷり寝ることといろいろなインタビューでお答えになっていますが、「いっぱい」食べてが結構「いっぱい」であることに気づき、ほっこりするはずです。

見たことがない人は、ぜひ見てください。

出口さん、次回の作品も楽しみにしております!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。CAMPION()でした。