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本書を読んだきっかけは、出口治明APU学長によるご紹介でした。
一言でいうと
良くも悪くも人は見た目が9割な一冊。
逃れられない第一印象の罠
他人の顔を見る時、自分でも知らないうちにラベルを貼ってカテゴリー分けをしています。
自分自身のコンプレックスによるものだと思いますが、頭が良さそうかどうかにとてもこだわっている気がします。
先日も、初対面の相手が「声に出して読みたい日本語」の斎藤先生に顔が似ていただけで、なんとなく頭の良さそうな人だなぁという印象を抱いたことを白状します。
そんな根拠のないことで気後れしてしまうことがあるかと思えば、逆の場合も少なくありません。
あまり大きな声ではいえませんが、頭がよくなさそうな印象だなぁとラベルを貼っているケースです。
本書でも、見かけを重視して投票行動を起こす、政治に無知なカウチポテトの例が挙げられていました。
知らない物事について判断しなければいけない時、人は近道をする、楽をするんだそうです。
campion
身の回りの日常生活か政治かの違いはあっても本質的には同じことです。
この自分の考えの特性を意識しておかないと、簡単に第一印象の罠にはまってしまいます。
しかも、第一印象はそれが正確だったかどうかを検証しにくいので、単なる思い込みだったことに気づきにくいという特徴もあります。
本書は、そのことについて多くの実験、最新の進化論、歴史から丁寧に論証を重ねています。
見かけはその人の性格を表しているのではなく、単に印象に過ぎない。
しかもその印象は自らの文化、個人的経験、バイアスで作られており、自分の頭の中が印象という形で投影されているに過ぎません。
この第一印象の罠から抜け出すには、ヒトの考えの癖を意識すると同時に、その人の顔ではなくおかれている状況に目を向けると良いと書かれていました。
特定の状況で、大部分の人がとるであろう行動がどんなものかを考えることで、その人の行動を予測するという方法です。
campion
論証に用いられた数々の実験
第一印象の「科学」というだけあって、とても多くの実験結果に基づいて論証がなされています。
「笑顔」における口元の重要性、顔をパーツではなく全体としてとらえる脳のクセ、コントラストが及ぼす見かけ上の性別への影響など、実験の結果を見せられるととてもよく腹落ちします。
それと同時に、科学はとてつもなく根気を必要とする学問だということを改めて痛感しました。
このことを説明するのに、こんなに大掛かりなことをしないといけないの??となんどもため息が出たことも確かです。
campion
少しだけ残念だったのが、実験で使われていた有名人がほとんど分からなかったことです。
海外の有名人が実験に使われていたので、たとえば昔のアメリカ大統領など知らないがゆえに実験結果を飲み込むのにワンテンポ遅れてしまいました。残念。
最新の進化論
科学は進歩し続けています。
第一印象だけでなく、そのほかの分野も研究が続けられています。
印象といった主観的な切り口ではなく、顔の機能、顔という筋肉の動きという捉え方でヒトの表情を分析していたところもとても興味深く読むことができました。
鼻の形と気候の関係、目の形と二足歩行の関係、見た目年齢と寿命、年齢とともに刻まれていく表情など、誰かにしたり顔で話したくなるような最近の知見も楽しく読ませていただきました。
顔の真の地図は動的で常に変化しており、その解釈は異なる状況で急速に変化する。その事実を忘れない限り、性格の情報源として顔を見るという観相学者の罠に陥る危険性は減らすことができるはずだ。
引用:第一印象の科学
私が読んだ本
本書以外に私が読んだ本を一覧にしています。ぜひご覧ください。