視点論点:貧しい国を襲う複合危機(西尾昭彦)を見て考えたこと

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3つのポイント

複合危機の影響

新型コロナウイルス感染症や紛争、気候変動、自然災害などが複合的に進行し、特に開発途上国の経済や生活に深刻な影響を与えている。

気候変動の深刻さ

気候変動による自然災害が頻発し、貧困層をさらに困難な状況に追い込んでいる。トンガやサヘル地域などでは、経済損失や食糧不安が顕著。

日本の国際的役割

日本は世界銀行の支援や防災技術の提供を通じて、途上国の危機対応を支援し、同時に経済的なつながりを強化することで自国の成長にも貢献している。

西尾氏の主張

複合危機に直面する途上国

今日の世界は、複合危機と呼ばれる複数の深刻な問題が同時に進行する状況に直面しています。

新型コロナウイルス感染症による公衆衛生の緊急事態、紛争に起因する食糧不安、不安定な政治情勢や産業問題、さらに気候変動が引き起こす自然災害が主な要因です。

この影響を最も受けているのは、開発途上国の人々です。

例えば、多くの途上国は一時産品の輸出や観光業への依存度が高いため、パンデミックによる経済的な打撃が非常に大きく、2020年から2024年は、最貧国75カ国にとって成長率が最低水準となった時期でした。

また、感染症の脅威も続いており、コンゴ民主共和国ではエボラ出血熱が2018年から2020年にかけて発生し、致死率の高さから多くの命が失われました。

このように、複合危機がもたらす影響は計り知れません。

気候変動と自然災害の深刻化

気候変動は、現代における最も広範囲かつ深刻な危機の一つです。

世界銀行は、気候変動の影響で2030年までに1億3200万人が住む場所や生活基盤を失い、絶対的貧困に追い込まれると警告しています。

日本でも熱波や台風などの自然災害が頻発していますが、被害は途上国でさらに深刻です。

例えば、太平洋諸国のトンガでは、火山噴火による津波の被害や、過去6年間で4度の大型台風に見舞われ、洪水や高潮が頻繁に発生しています。その結果、毎年、国民総所得の7分の1に相当する経済損失が出ています。

また、アフリカのサヘル地域では、人口の約3分の2が雨水に依存した農業に従事していますが、干ばつや洪水の影響で食糧不安が悪化しています。

このように、気候変動は多くの地域で人々の生活を根本から脅かしています。

日本の役割と国際協力の重要性

日本は途上国支援において長年にわたりリーダーシップを発揮してきました。

新型コロナウイルス感染症が世界的に広がった際、日本は世界銀行の増資を主導し、史上最大規模の支援を実現しました。また、日本はユニバーサルヘルスカバレッジの推進や、防災インフラの整備でも国際的なリーダーシップを発揮しています。

日本は地震や台風などの自然災害を多く経験してきたため、防災技術やノウハウを共有することで他国を支援しています。さらに、日本は豊富な天然資源や成長する市場を持つ途上国との経済的つながりを深めることで、自国の成長も期待できる立場にあります。

このような国際協力の取り組みは、分断されがちな現代社会において、世界の平和と安定を実現するために必要不可欠です。

例えば、かつて戦火に見舞われたボスニア・ヘルツェゴビナは、世界銀行グループの支援で経済復興を果たし、2023年にはドナー国として支援側に回りました。

日本も、東日本大震災の際に世界各国から受けた支援を忘れず、引き続き途上国を支援することで国際社会での信頼を築いています。

このような協力を通じて、日本は島国としての平和と安定を確保していくことが求められています。

自分で考えたこと

「困った時はお互い様」

最初に思い浮かんだのはこの言葉。日本における助け合いの精神の象徴とも言える言葉でした。

アフリカをはじめとした発展途上国に関するニュースを積極的に見に行くことはありません。私が子どもだということもありますし、忙しくてそれどころではないということもあります。

けれど、現に発展途上国は存在し、いまだに十分な暮らしができずにいる人が大勢いるのです。そう思うと、自分たちのわがままを反省します。

日本の環境がどれほど恵まれているのかを考えずにはいられません。

では、こうして苦しんでいる人たちに対して何ができるのかと考えると、また困ってしまいます。個人レベルでできることを全く思いつきません。

そういう国々の存在に思いをいたし、いい加減な生活を送らないように自分を戒めることくらいしかできません。

自分が置かれている恵まれた環境に感謝することしかできません。スケールが大き過ぎて、想像力が及ばないのです。

そんな無力感を感じるわけですが、せめて消費行動をするときには、後進国の不利益になるような選択をしないように心がけたいものです。

政府が、困っている国に対して支援を行うという場合には、応援する気持ちを持ちたいものです。

『視点・論点』や『時論公論』で取り扱われるテーマは、地球規模のものが多いです。どのテーマも大き過ぎて個人でなんとかできるレベルではありません。

番組を見るたびに、自分の無力感を痛感し、何もできないことに苛立ちを感じてしまいますが、何かできることがあるかもしれないと思いつつ、アンテナを張っておくことが大事だと思っているところです。

参考:世界銀行に関する書籍

世界には約1億8,400万人が母国を離れて暮らしています。この移住は、経済格差や気候変動といった課題に対応する中で、今後ますます重要になるでしょう。適切に管理されれば、移住は繁栄の鍵となり、国連の持続可能な開発目標(SDGs)の達成にもつながります。

『世界開発報告2023』では、移民のスキルや動機が行き先国のニーズにどれほど適合するかを分析する「適合と動機のマトリックス」を提案。これにより、政策設計を効率化し、効果的な移住管理が可能になります。移住の未来を形作るには、国際協力が欠かせません。