自動物流道路がもたらす輸送の未来(羽藤英二)をみて考えたこと

この記事には広告をふくむ場合があります。

記事内で紹介する商品を購入することで、当サイトに売上の一部が還元されることがあります。

要点

自動物流道路の概要と目的

  • 高速道路の中央分離帯や路肩を活用し、無人化・自動化された輸送システムで物流の効率化を目指す。
  • トラックドライバー不足や環境負荷を解決する手段として、政府が導入を計画している。

導入の背景と効果

  • 「2024年問題」による輸送力不足や非効率な輸送体制への対応策として、自動物流道路が注目されている。
  • トラックドライバー不足や環境負荷を解決する手段として、政府が導入を計画している。

課題と展望

  • 建設費用の高さや災害時の対応などの課題があるが、柔軟かつ迅速な開発で解決を目指す。
  • パレット規格の統一や物流拠点の効率化が必要で、ヨーロッパの事例も参考にするべき。

羽藤氏による説明

日本では、物流業界が深刻な課題に直面しています。

その背景には、輸送力不足や非効率な輸送方法、さらには環境負荷の問題が挙げられます。

これらの課題に対処するため、政府は自動物流道路の導入を計画しています。

この革新的な取り組みは、物流の効率化や環境負荷の軽減、さらには労働環境の改善を目指しています。

自動物流道路とは

自動物流道路は、高速道路の中央分離帯や路肩などを活用し、無人化・自動化された輸送手段を導入する物流専用の空間です。例えば、荷物を運ぶ自動輸送カートが24時間365日稼働し、人手を介さずに荷物を目的地まで届ける仕組みを備えています。

具体的な運用では、トラックで拠点に運ばれた荷物が自動的に荷下ろしされ、自動輸送カートに積み込まれます。その後、バッファリングレーンと呼ばれる一時滞留スペースで、行き先ごとに荷物が整理され、トラックが到着するタイミングに合わせて配送が行われます。

このように物流全体の効率化が図られる点が、このシステムの革新性です。

導入の背景

2024年4月からトラックドライバーの年間時間外労働が960時間以上禁止される規制が施行され、物流業界では輸送力不足が深刻化すると懸念されています。

この「2024年問題」によって、荷物の取扱量が増える一方で、輸送が追いつかず、物流網の停滞が予想されます。加えて、2030年度には輸送力が34%不足するとの試算もあります。

自動物流道路の導入は、この問題の有効な解決策とされています。例えば、東京–大阪間に自動物流道路を建設した場合、トラックドライバー1万2000人から1万7000人分の労働力に相当する輸送力を確保でき、1日に輸送可能な荷物は12万トンから14万トンと試算されています。

経済性と環境負荷の軽減

自動物流道路の建設費用は、高速道路上に設置する場合、10キロメートルあたり約254億円と見積もられ、東京–大阪間の約500キロメートルを整備するには約1兆3000億円が必要です。

一方、地下トンネルを掘削する案では、10キロメートルあたり700億円から800億円となり、より高額になります。

環境面では、日本の二酸化炭素排出量の約20%が運輸部門に由来し、そのうち約45%がトラック輸送から発生しています。

自動物流道路では電気自動車や再生可能エネルギーを活用し、二酸化炭素排出量を大幅に削減することが可能です。具体的には、東京–大阪間で年間143万トンから193万トンの削減が見込まれています。

欧州との比較と課題

欧州では、輸送効率を高めるために荷物を載せるパレットの規格化が進んでおり、企業間で共有することで効率的な輸送が実現しています。

一方、日本では各社が独自の単位で輸送を行っており、非効率な状況が続いています。自動物流道路では、パレットの規格を横1.1メートル、奥行1.1メートル、高さ1.8メートルに統一する方針を打ち出しており、物流の標準化に向けた重要な一歩とされています。

また、日本の物流では荷物の受け渡し時間が限られるため、再配達が発生しやすい問題があります。この点でも、自動物流道路のバッファリングレーンが効率的な時間調整を可能にするため、有効な解決策となります。

課題と展望

自動物流道路には多くの可能性がある一方で、大規模災害時にどのように機能するのか、建設費用が高額で採算が取れるのかといった課題もあります。

災害時には地下専用トンネルが有効ですが、コストが増大するため慎重な判断が必要です。また、物流拠点の連携や効率化も課題となっています。

例えば、地方の拠点と都市部の拠点を連携させるには、既存システムに依存しすぎず、新たな物流インフラを積極的に導入することが求められます。ヨーロッパのように鉄道輸送やパレット規格化を参考にしつつ、日本独自の解決策を模索する必要があります。

結論

自動物流道路の導入は、日本の物流の未来を支える革新的なプロジェクトです。

効率化や環境負荷の軽減だけでなく、労働環境の改善や国民経済の底上げにも寄与する可能性を秘めています。その実現には、民間の力を最大限に活用し、柔軟かつ迅速に開発を進めることが重要です。

これにより、日本の物流システムはさらなる進化を遂げるでしょう。

考えたこと

羽藤氏が説明していることが実現したら、すごい効果が生まれるだろう。高速道路の中央分離帯を自動貨物が動いている様子を想像するだけでワクワクします。

自動物流道路の効果の1つとして、運転手の人権回復が挙げられたことは、とても新鮮に感じられました。

自動道路を実現したいということについては、異論はなさそうです。一部の既得権益を持つ人たちは反対するかもしれないが、このメリットを考えると反論を維持することは難しいでしょう。

放送でも触れられていましたが、ネックはコストです。パイロット試験で効果を実感することができればさらなる投資を呼べるのではないかと淡い期待を抱いています。必要なコストは1.3兆円といいます。

誰か奇特な人が出資してくれないかなと思ってしまいます。

アメリカに15兆円の投資をすると宣言したソフトバンクの孫さんには、15兆円のうちいくらかをこちらに分けてほしいと思ったりもします。

さすがにこの金額になると、政府が主導しない限りコスト面のマイナスを補うことは難しいのではないでしょうか。電気やガソリンに補助金を出している場合ではありません。

自動輸送の技術を高めれば、国内に恩恵があるだけでなく、その技術を海外に売ることもできるのではないでしょうか。新幹線の技術を海外に輸出したのと同じように。

今回の放送で語られている世界を生きているうちに見てみたいと思いました。

羽藤氏の著作

災害からの復興を単なるインフラ整備ではなく、人々の心や生活の再生として描いた一冊です。著者・羽藤氏は、被災地でのリアルな経験と先端的な研究をもとに、復興の本質を掘り下げます。

土地の歴史や文化、人々の営みが絡み合う中で、新たな未来をどう築くのか?災害後の地域が生まれ変わるプロセスを、わかりやすく力強く語ります。