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3つのポイント
長年の候補から平和賞受賞へ
- 被団協は10年以上にわたりノーベル平和賞の有力候補とされてきたが、2017年の核兵器禁止条約成立時も受賞を逃していた。
- 2023年に日本がついに平和賞を受賞し、多くの関係者がその喜びを共有した。
被爆者の証言が世界に与えた影響
- 被爆者たちは苦痛を伴う体験を繰り返し語り、ケロイドなどを示しながら核兵器の非人道性を訴えてきた。
- これにより、核兵器の使用を防ぐ「核のタブー」が国際的に形成された。
次世代への期待と核廃絶への道
- 国際情勢が混迷を深める中、被爆者たちは若い世代に証言を共有し、核廃絶を求める連帯を築く努力を続けている。
- 特に次世代を巻き込み、核兵器国の政策転換を目指す運動が今後の鍵となる。
朝長氏の主張
1. 長年の候補からついに受賞へ
被団協がついにノーベル平和賞を受賞しました。これまで10年以上にわたり有力候補とされながら、毎年惜しくも受賞を逃していました。特に2017年には、核兵器禁止条約の成立が大きな節目となり、その活動の中心となったICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が受賞したことで、この年も見送られる結果となりました。
しかし、今年8月下旬、ノーベル平和賞委員会から授賞式後のフォーラムへの招待状が届いたことで、日本の受賞が現実味を帯び始めました。そして、10月11日、ついに悲願の平和賞受賞が発表され、多くの関係者がその喜びを分かち合いました。
2. 被爆者の証言がもたらした影響
平和賞の授賞式では、広島や長崎の被爆者たちが語り続けてきた証言が改めて注目されました。
彼らは、思い出すのも苦痛である被爆体験を世界中で語り、ケロイドによる傷跡を公に示しながら、核兵器の非人道性を訴えてきました。
この活動は「核のタブー」と呼ばれる共通認識を生み出し、核兵器の使用を抑制する国際的な流れを作り出しました。
その証言の力によって、核兵器が二度と使用されないようにという願いが、広く世界に共有されることになったのです。
3. 未来への希望と次世代への期待
現在の国際情勢は混沌としています。ロシアによるウクライナ戦争では、核兵器使用の威嚇が続き、核軍縮への道が険しくなっています。しかし、このような状況だからこそ、若い世代への被爆体験の共有が重要です。
昨年、被爆者手帳友の会がアメリカで行ったツアーでは、多くの若者が核兵器廃絶を支持していることが分かりました。彼らが国境を越えて連帯し、核兵器国の政策に影響を与える未来を築くことが期待されています。
ノーベル平和賞受賞を機に、次世代を巻き込みながら核廃絶を目指す新たな運動が求められているのです。
自分で考えたこと
被団協のこれまでの活動に敬意を表し、ノーベル平和賞の受賞に対し、心よりお祝い申し上げます。恥ずかしながら、ノーベル平和賞の知らせを聞くまで、被団協の存在を存じ上げておりませんでした。
ノーベル平和賞をきっかけに、核問題について考える機会を得ました。他にも多くの人々が、ノーベル平和賞の知らせを受けて核問題について考えるきっかけを得たのではないかと思います。
そういった意味では、この賞が世界に与えた影響は非常に大きかったと考えます。
一方で、被団協が目指す世界と現実とのギャップに対し、非常に大きな無力感を覚えてしまいます。核を保有し、政治の道具として利用している指導者たちに、この訴えが届いているとは思えないのです。
核廃絶への思いが、被害者の方々にしか届いていないように感じられてなりません。
そのことに対して、自分にできることが非常に限られていると感じ、悲しい気持ちになります。
草の根運動で、地道に声を届けていくしかない。核の魅力に取り憑かれた指導者の世代交代が起きるまで、この活動を続けていくしかない。そう思うのです。
大学に赴き講演をするような経験もないため、自分の子どもたちといった身近な存在に、核の恐ろしさや戦争の愚かさを伝えることしかできません。
結局のところ、核は一つの道具に過ぎません。適切に利用すればエネルギーとなりますが、悪用すれば破壊をもたらします。核保有国が一斉に核を放棄するという事態は想像しにくい以上、このモヤモヤとした感情とは根気強く付き合っていく必要があるのかもしれません。
著作(朝長万左男:日赤長崎原爆病院 名誉院長)
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参考になる映画
原子爆弾の父と呼ばれた物理学者J.ロバート・オッペンハイマーの波乱に満ちた人生を描いた歴史ドラマです。
クリストファー・ノーラン監督の手腕により、科学者としての輝かしい功績と、核兵器開発がもたらした深い苦悩が見事に描かれています。キリアン・マーフィーの圧倒的な演技力で、天才科学者の内なる葛藤や人間性が生き生きと表現され、観る者の心に深い感動と余韻を残します。